夜は短し歩けよ乙女

ネタバレがあります。ご注意ください。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)


うう、オモチロイよう。予想以上だった。太陽の塔、が私としては…な感じだったのだけれど、へなちょこな2ndのジャケと本書の表紙が似ていたため購入。ただ、太陽の塔、と主人公の中身はほとんど同じ?物事を自分のいいように捉え、解釈し、ただただネガティブで、変なところにポジティブで、頑固で、偏屈で、ともすれば熱しやすくて、かと思えば躊躇して、葛藤だらけで、というか、まあ、情けないのだけれど、とはいえ、何故か、そんなところが、憎めないのだけれど。けれど、太陽の塔、ではあんなにもあれな出来だったのにもかかわらず、本書がこんなにもこんな出来であるのは何故だろう。やはり、黒髪の乙女、の存在なのだろう、と思う。ただ、おともだちパンチ、で殴っては、絶対に親指が折れると思う…

物語は最初からエンジン全開。様々な人物の関係が紐付き結び付いていく様はまさに圧巻。文化祭での、どこぞの省エネなわらしべプロトコルよろしく、散らばった欠片が収斂していく様も、まさに圧巻。その関係図だけを見るのであれば、そこまでたいしたものではないのだけれど、そのテンポの良さ、間の取り方、ずらし方、が、とても心地良くて、絶妙で、語呂が良くて、読みやすくて、爽快で、気が付いたら読み終わっていた。

最期は若干、というか、物凄く、力技に出た気がしないでもないけれど、それでも、それも、神様の御都合主義、なのだとするのであれば、もう何も言わない。だから。おともだちパンチを繰り出すことのないほどの、誰もが赤面することうけあいな未来が彼らに待っていることを、神様に祈ろう。なむなむ。