ROOM NO.1301 #11 彼女はファンタスティック!

ネタバレがあります。ご注意ください。

ROOM NO.1301 #11  彼女はファンタスティック! (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301 #11 彼女はファンタスティック! (富士見ミステリー文庫)


祝完結?とても駆け足感が強かったラスト2巻だったけれど、まあ、いいか。それにしても、近年まれに見るほどに、登場している人物の全てが、自己中心的だった。けれど、それを感じさせないのは、それを他人に強要しないから。基本的には保守的で、それでいて廃退的。流されやすく、突拍子もないけれど、核となる部分には頑なで。なにやら、このシリーズ自体が、有馬冴子のような雰囲気を纏っていたけれど、もう閉じてしまったかと思うと、残念。

彼女はファンタスティック。彼女とは、誰のことを示しているのだろう。表紙では、千夜小になっているけれど、最終巻で全員に一通り、らしい見せ場があったことを考えると、それは読者それぞれの判断に任されているのかな、なんて思ったりしてみたり。でもツバメがいないよ、なんて、そんなこと、気にしてはいけないお約束…

後日談。冴子の墓前(どうでもいいけれど何で横須賀だけ実名?)でそれはないだろう。なんて思いつつ、このシリーズならではの展開なのだから、これはこれで、ありなのだろう、とも思う。ただ、冴子の墓前で、こんな会話ができるようになるまでに、健一には、どれだけの葛藤があったのだろう。けれど、それでも、あのマンションを出て行けるまでになれた健一を、それを支えて続けてきた千夜子は、やはりファンタスティック、なのかもしれない。彼女はもう、いないけれど。それでも彼らは歩いていく。だから彼らは歌うのだろう。