ツァラトゥストラへの階段3

ネタバレがあります。ご注意ください。


毎度のことながら、アバウトすぎる。HPとか経験値とか現在地とか戦闘シーンとかあれとかこれとか、終わり方とか。辻褄が合わなくなることを避けるためなのか、ただ面倒くさいだけなのか、読者が読みやすいようにしているのか、それ以外の何かなのかは、まあ、分からないけれど。それでも、アバウトなのにもかかわらず、やけにしつこい描写があり、所々流し読みした。一番顕著だったのが終盤新宿。あれはちょっと、読む気が失せた。こんな膨大なデータの中を戦っている。というようなことでも表したかったのだろうか。ただ、残念ながら、このアバウトな設定のせいで、どうせ主人公だからなんとかなるのだろう感、が非常に強いため、ただのノイズデータでしかなかった。一冊を通して、どこにも焦燥感を感じなかった。結構致命的だと思う。

また、保守的すぎる。結構きわどいような、攻撃的な台詞があるにもかかわらず、それをすぐさま他の人物が否定して、それを繰り返して、結局、当たり障りのない無難なところに着陸する。福原が受身であると指摘を受けていたけれど、この作品自体が受身な感じ。

日常b。これが間に入ると、一気に読む気がなくなる。前巻でもそうだった記憶が。まあ、一度集中が切れると、再びスイッチを切りえるのに時間がかかるのは、私の問題なのだけれど。とはいえ、日常bを境に作風がガラッと変わった気がしたのは確か。

この作品って、女の子たちが…もはや、あれが福原のパルスなのではないだろうか、なんて思ってしまう。あれはあれで、いいのかもしれないけれど、福原の都合のいいようにしか動かないので、何か読んでいて先が見えてしまうのは、残念なところ。先が見えるといえば、魔王。あれって、わざとなのだろうか。不自然すぎて、わかり易すぎて、笑ってしまった。

とはいえ、とどのつまり、他のプレーヤーがしょぼかったのが、盛り上がらなかった原因かもしれない。もう、これが最終巻でいいのではないだろうか。なんて思ってしまった。

そういえば、巨人戦云々の部分で執筆時期がわかったりわからなかったり。まあ、いいか。あと、この作者の作品を読むたびに、乙一の、SEVEN ROOMS、っぽいとか思っていたのだけれど、今回はそんなことなかった。その点においては良かった、かな。