ナルキッソス

ネタバレがあります。ご注意ください。

ナルキッソス (MF文庫 J か 5-1)

ナルキッソス (MF文庫 J か 5-1)

どこまでも西へ――

ふーん。といったところ。そこらに有り触れているような題材で、内容で、結末で。カリスマクリエイターとか書いてあったから、期待してはいたけれど、ふーん、といったところ。比較するのは良くないことだけれど、3月に出た、似たようなジャンルのあの作品よりかはマシだった、といったところ。

というか、明かされていない部分が多すぎる。どのくらいあるのか、思い返すのが面倒になるくらいに。ゲームだと、ルートを変えればそれらを回収できるのだろうけれど、小説という媒体なのだから、その辺は考えて然るべき。……や――を多用し過ぎなのも考えもの。また、蒔絵視点いらなくはないだろうか。ほとんど機能していない。尺を稼いでいるだけのようにしか見えない。蒔絵視点を入れるくらいなのであれば、他に明かしてほしい部分があったというのに。あと、これはどうでもいいことなのだけれど、蒔絵の容姿が…某週刊少年雑誌の某ラブコメ漫画に出てくる某キャラにしか見えなかった…

銀のクーペ

彼らの最大の武器、だと思う。作中に何回も出てきたのは、彼らの想いの象徴、なのだと思う。思ったけれど、特に何の感慨もなかったし、伝わってこなかった。ということは、ただ単に作者がその言葉を使いたかっただけなのかもしれない。

おいセツミ、湯冷めしないようにしろよ

関ヶ原での件。何処がツボなのかまるで分からなかったのだけれど、なんだか顔がにやけてしまった。なにやら、この辺りから急激にセツミが可愛く思えるようになった。謎だ。

……残す者には、笑ってあげて……

セツミが残した、優への呪縛。セツミはどういう想いでこの言葉をかけたのかは分からない。けれど、少なくとも優は、7Fのルールを誰かに伝えるまでは、自らの手で、幕を下ろすことは、出来なくなった。優がどんな想いを抱いているのかも分からない。けれど、できることならば、残す者のために、笑ってほしい。

明らかにライトノベルというジャンルからは浮いているような気がしまして……

著者コメントにも似たようなことが書いてあったけれど、何だこれ。見方によっては、尊大であるとも捉えられかねないようなことが、あとがきに書いてある。確かに、文体やら構成やらは、小説という媒体からは浮いているけれど。なんて皮肉を、飛ばしてしまいそうだ。