断章のグリム6
ネタバレがあります。ご注意ください。
- 作者: 甲田学人,三日月かける
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 文庫
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…パパ…ママ…
今まで見せなかった雪乃の心情。意外といえば意外だけれど、やはりといえばやはりな一面。気丈に振舞っているのも、普通を嫌っているのも、突き刺すような視線も、あの態度も性格も…まあ、わからないけれど、そのうち明かされるだろう。雪の女王の由来と共に。
あんた…おれの話聞いたことなんか、一度もねえじゃねえかよ
断章だけではなかった。マナのことだけではなかった。そういう年頃だからということだけではなかった。それらが些細というわけではない。けれど、勇路の性格を決定付けたのは、この人。自分より年上に対しての、極端なまでに排他的で、絶望的な態度。強く、けれど、儚く、歪んだ、その想いを、ぶつける。けれど、それはすれ違ったまま。というか、笑美。断章詩なしで効果発動か…そりゃ、封を切るのに包丁使うわ…
……開いてるよ、入ってきて
グロい描写はこの巻もほとんどないけれど、個人的には、この方が良い。対して盛り込まれているのは、この環宅における、ねえ、や、コミュニティセンターにおける、ピンポーン、において描かれている、えも言われぬ、緊迫感、焦燥感。断章のグリムになって、作風が変わったかと思いきや、やはり甲田学人。本質は、変わらないようだ。そして、やはり
バチン
上巻とは別の恐怖。ありがとうございます。
僕らはみな、人狼なんだ
灰かぶり・ヘンゼルとグレーテルはともかく、あの人魚姫ですら、あの状況では可能な限り最大限のハッピーエンドという解釈があったのにもかかわらず、赤ずきんは…絶望的だ。それは、妹を守れなくて、妹を投影していたマナを守れなくて、瑞姫を守れなくて、環を守れなくて、その全てを目の当たりにした、勇路の、絶望感を表しているかのように。それとも何か、他の解釈が、あるのだろうか。蒼衣なら、どう解釈するのだろうか。
はつかねずみがやってきた
はなしは、おしまい。いや、これ終わったのか?勇路はどうなったのだろう。あれが二部ということなのだろうか。それとも、これがきっかけで、他の泡禍を引き起こすことになるのだろうか。うーん、わからない。
配役設定においては二巻、衝撃度においては四巻に劣るけれど、それを補えるほどの解釈。何故石を詰め込むのかなんて、そんなこと、思いつかない。やはり、捉える視点が違うのだろうか。