小説ARIA2 ~四季の風の贈り物~

ネタバレがあります。ご注意ください。

小説ARIA ?四季の風の贈り物? (MAG-Garden NOVELS)

小説ARIA ?四季の風の贈り物? (MAG-Garden NOVELS)


アリアのオムニバス小説。短編四つ。その一つ一つが四季を表している。私は、原作を途中までしか読んでおらず、アニメを途中までしか見ておらず、一つ前の小説も読んでいないため、若干、わからないネタもあった。今度補完しよう。

一話目と二話目を読む。うーん…とりあえずたくさんキャラ出しておけ的な、騒がせておけ的な展開や、違和感のある言動、軽すぎる文体が、私の中のアリアのイメージとは大きく掛離れていた。しかも、特に恥ずかしいセリフでもないところで藍華が突っ込みを入れているのが、その違和感に拍車をかけている。失敗した。と、思った。けれど

希望はそれを望み続ける限り、すべての人の心の中にずっと宿っているもの

三話目。うそ…「ミミズクと夜の王」や「半分の月がのぼる空」を読んでも泣く兆しすらなかった私の目に、若干、涙が、溜まった。胸を締め付けるような切なさがあるわけではない。胸が張り裂けるような悲しさがあるわけではない。別に感動的な何かがあるわけでもない。あるのは、胸に沁み込んでくるような、ただただ優しい、物語。浦畑達彦か。チェックしておこう。あれ…この人アニメの脚本家なのか…何か小説を執筆してくれないだろうか。と、切に、祈る。けれど、オチが若干不満。あのように茶化すのではなく、あの余情を残したまま、素敵ワードで、恥ずかしいセリフで、締めくくってほしかった。だってその方が、アリアっぽいではないか。ああ、あと、アリスが藍華さん、と言っていた部分が若干残念。まあ、それは些細でしかないけれど。それとも、原作だとそう呼ぶようになるのだろうか。まあ、いいか。

やっぱりアンの作るココアの方が何倍も美味しいわ

四話目。らしさで言えば、これが一番、アリアらしい。なかなか良い雰囲気だ。けれど、アンがその雰囲気をぶち壊している。オリジナルキャラだろうか。うーん…と、思っていた。けれど、あの手紙以降、それが一変する。それぞれの心情が、なかなかに、秀逸だ。ただ、ここでも残念なのが、それぞれの台詞。一文字違うだけで、こんなにも、違和感が出てくるものなのか。と、思ってしまった。

スピンオフとは、作品のらしさを醸し出しつつ、そこにどうやって自分らしさを組み込めるかが、肝である。と、勝手に思っている。オムニバス形式である本書では、四人の作家のそれを読み比べることが出来た。その辺はとても、よかったかな。