ツァラトゥストラへの階段2

ネタバレがあります。ご注意ください

私はどこがわからないかも理解していないの

この言い分は、わかる。私自身、そう思っていた時期があったから。けれど、それは甘えでしかないことに、いつか気付く。理解していないのではなくて、理解しようといていないのだということに。周りへの、自分への言い訳でしかないことに。まあ、それはいいか。何か最近、感想から外れるな…一方は高校生らしいような、一方は高校生らしくないような、会話。そして、福原の最後の言葉「…なんでわかってくれないんだ?」。おそらく、ほとんどの読者が思ったであろうこの言葉を、送ろう。お前がな。

Overload Game

何か設定が似通ってきたかな。と、少し思った。また、ルールを規定しているのに、色々な所でアバウトな部分があった。不要な描写が結構あったと思うので、そこを削ってもう少し練りこんでほしかったかも。まあ、三ヶ月で出版しているので、無茶は言えないけれど…それとも、初心者のプレイヤーが多かったので、未熟であることを表すために、わざとアバウトにしたのだろうか。それだと、今後のハードルを上げていることになるけれど…とりあえず今後に期待しよう。

戻ってくるわけないだろ

私的に「日常b」は若干、蛇足的な感じがした。このエピソードはおそらく、福原が決意を固めるためのものなのだろう。読者への箸休め的な要素も含んでいるのかも知れない。福原はここで一回、ゲームへの気持ちが切れるのだけれど、私も同様に、気持ちが切れた。福原はすぐに持ち直すけれど、私は少し、きつかったかな。

所詮人間もデータの集合体なのだ

これは、作者の心情だろうか。だからかはわからないけれど、「扉の外」から思っていたことがある。何か心理描写があまり上手くない。というか、伝わってこない。特異な状況が心理状態を乱していることを表したいのか、心理描写が苦手だから特異な状況下を作り出しているのかはわからないけれど、はぐらかして、誤魔化している感じがする。リアリティーが足りない。それを割り切って書いている感じでもない。焦燥感を煽るのはなかなか上手いけれど、そのほとんどを状況描写によって表している。そのため、心理描写が足りないと思ったのかもしれない。

そして、相変わらず、物語が収斂する様はあっけない。出口を探すゲームだったとはいえ、ゲームそっちのけの結末。うーん…

何が得意で何が苦手なのかが表れている作品だと思った。けれど、なんだかんだ言っても、三巻が出たら迷わず買うのだろう。この設定は、それほどまでに魅力的なのだから。