プシュケの涙

ネタバレがあります。ご注意ください。

プシュケの涙 (電撃文庫)

プシュケの涙 (電撃文庫)


んー、良かった。生温いけれど、これも、ミステリに分類されるのだろうか?とはいえ、書きたかったものは、おそらく、ミステリ部分ではないのであろうから、まあ、いいか。物語自体は、前半と後半に分かれている。前半は吉野の死の真相が書かれているけれど、おそらく、この作者の得意分野ではないのだろう、と思わせるほどに、稚拙。まあ、他の作品を読んだことがないので、一概には言えないけれど。後半には、おそらく、吉野の絵の完成形のヒントが、隠されているのだと思う。なんて言ってみても、空白の部分には何が入るのかなんて、私にはわからなかったけれど…

プシュケの涙

シャボン玉のように、儚い結末。吉野は、未完の絵の右下の空白の部分に、何を描くつもりだったのだろう。無粋だけれど、予想してみる。たぶん、おそらく、ぶわぶわくん、を描くつもりだったのではないだろうか。見方によっては、花に群がっている蝶に見えるように。見方によっては、花束に見えるように。見方によっては、あの日のシャボン玉に、見えるように。あの日の想いを込めて、由良への想いを込めて、蝶のように、シャボン玉のように、飛んで行けるようにと、これからの希望を込めて、描くつもりだったのではないだろうか。この物語で、何故、この題名なのだろう。なんて、思っていたけれど、もしかしたら、吉野の絵の題名、だったのではないだろうか。それとも、由良の絵の題名、だったのだろうか。読者の涙、なのだろうか。それ以外の何かなのだろうか。由良は答えを、見つけられたのだろうか。蝶を描いた由良は、どんな気持ちで、それを描いたのだろうか。

俺なりにチョウチョってものを描いてみた

由良の言うチョウチョとは、何を表していたのだろうか。まあ、そんなこと、わからないけれど。Kananta Y.。このサインに込められている想いは、いかほどのものだろう――――