幽式
ネタバレがあります。ご注意ください。
- 作者: 一肇,わかば
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/11/18
- メディア: 文庫
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人は無意識のうちに様々なことに縛られるわ
ジャケ買い。が、久々に当たった感じ。とはいえ、挿絵が…携帯の部分は位置がずれているし、傘の部分は自転車に乗っていないしで、なんなのだろう、と思った。あとから文章を推敲しなおしでもしたのだろうか。まあ、いいか。
序盤は秀逸。怖いというには程遠いけれど、いくつかの箇所で、薄ら寒さを感じた。ただ、クリシュナの存在価値が、正直微妙。接点と説明の役しかないので、いてもいなくても、あまり大差ない。というか、この人のおかげで、薄ら寒さが大分軽減されていた。それが本作の救いでもあるのだろうけれど、うーん…クリシュナの元ネタを知っていれば、また違う印象にでもなったのだろうか。そういえば、関口君の元ネタってなんなのだろう。
中盤以降は、私が期待していた展開から外れてしまっていた…ああ、そっちに行ってしまうのか。と、ちょっと残念。怪異の対象が変わってしまっている。いや、違うかな。怪異の正体が分かってしまっただけか。正体がわからないからこそ不気味なのであって、しかもその正体が…オカルトという言葉で一括りにはされているけれど、あっちもこっちも取り入れている。何か、統一感がない。私的には、結構、超展開だった。PSYCHEのようなトリックもあったけれど、あっちを先に読んでしまうと、こっちでは物足りなかった。
まだまだエピソードがありそうな終わり方だし、先輩が謎のままで終わったし、序章では神野江がもういないような物言いだしで、続編がありそう。終始雰囲気があれだったのにもかかわらず、読了後の後味は、そこらの青春物なんかとは比べ物にならないほどに、清清しかった。
お前らしいじゃねえか
悪意以外の何かが見えたのであれば、怪異以外の何かが見えたのだろう。だから、彼女は…この本の題名も、結式、なのかも知れない。