煌夜祭
ネタバレがあります。ご注意ください。
- 作者: 多崎礼,山本ヤマト
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 新書
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ああ、えらいことになった…
と言いたいのは、私のほうだ。これは半端ではない。新人の域を、既に超えている。あとがきを読んだところ、投稿暦十七年らしい。本当に今までどの賞にも引っかからなかったのだろうか。と思える程、洗練されている。語り部が一つずつ物語を紡いでいく物語。その一つ一つが短編となっていて、それが折り重なって長編となっている。それらが収斂していく様は、まさに圧巻。ただ、乙一のようなトリックがあったのだけれど、反則的というか、強引な部分があった。まあ、そんなの些細でしかないけれど。
貴方のその名に恥じないように――
うーん、何か2が浮いているな。と、思っていたけれど、ここに繋がるのか。けれど、この謎が解けた後、今度は、1がとてつもなく浮いているような気がしてきた。もしかしたら、ナインティンゲイルは嘘をついていたのではないだろうか。1に出てくる魔物は、ナインティンゲイルなのではないだろうか。場所も、ターレン、だったのではないだろうか。そして、トーテンコフは、それを見抜いていたのではないだろうか。ニセナインティンゲイルと呼んでやろうか?その言葉には、そういう意味が、あったのではないだろうか。
この世にあるものすべてには、存在する理由がある
魔物とムジカダケは、とてもよく、似ている。物語の最初と最後にイガ粉を投げ入れているけれど、おそらく、それぞれの想いも、それに乗せているのだろう。それらは彼らにとって、どのようなものだったのだろうか。それでも、物語を、謳い続ける。夜が明けたときの彼らの想いは、どのような、ものだったのだろうか。