煌夜祭

ネタバレがあります。ご注意ください。

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)

ああ、えらいことになった…

と言いたいのは、私のほうだ。これは半端ではない。新人の域を、既に超えている。あとがきを読んだところ、投稿暦十七年らしい。本当に今までどの賞にも引っかからなかったのだろうか。と思える程、洗練されている。語り部が一つずつ物語を紡いでいく物語。その一つ一つが短編となっていて、それが折り重なって長編となっている。それらが収斂していく様は、まさに圧巻。ただ、乙一のようなトリックがあったのだけれど、反則的というか、強引な部分があった。まあ、そんなの些細でしかないけれど。

貴方のその名に恥じないように――

うーん、何か2が浮いているな。と、思っていたけれど、ここに繋がるのか。けれど、この謎が解けた後、今度は、1がとてつもなく浮いているような気がしてきた。もしかしたら、ナインティンゲイルは嘘をついていたのではないだろうか。1に出てくる魔物は、ナインティンゲイルなのではないだろうか。場所も、ターレン、だったのではないだろうか。そして、トーテンコフは、それを見抜いていたのではないだろうか。ニセナインティンゲイルと呼んでやろうか?その言葉には、そういう意味が、あったのではないだろうか。

この世にあるものすべてには、存在する理由がある

魔物とムジカダケは、とてもよく、似ている。物語の最初と最後にイガ粉を投げ入れているけれど、おそらく、それぞれの想いも、それに乗せているのだろう。それらは彼らにとって、どのようなものだったのだろうか。それでも、物語を、謳い続ける。夜が明けたときの彼らの想いは、どのような、ものだったのだろうか。

見事とだ――

ああ、序章はここに繋がっているわけか。あれから、何年も、何十年も、もしかしたら、何百年も過ぎて、魔物も、ムジカダケも、その答えを、見つけたのだろう。この煌夜祭で、それを、示せたのだろう。全ての存在理由は、今日のために、あったのだろう。

ああ、そうだ。マグノリアは、何を象徴していたのだろうか。うーん。わかんね。

それと、早く<本の姫>の新刊出てくれないだろうか。待ちきれないなあ。