〈本の姫〉は謳う1
ネタバレがあります。ご注意ください。
- 作者: 多崎礼,山本ヤマト
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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今月新刊が出るので、積んであったのを引っ張り出して読んだ。あとがきを読んだところ、全四巻構成らしい。序盤のため、特に派手なところもないし、物語も断片しか出てこないし、伏線を張れるだけ張ってやったぜ的なものとなっている。前置きなく物語は始まるし、世界観を理解する前に場面が切り替わる。けれど、それでも、読みにくいことはなく、読み物として成り立っているのがすごい。これで新人なのか。そういえば、スタンプというのが多少想像しにくかったのだけれど、3Dシートのようなものだろうか。うーん。挿絵がほしい。
すべての本は読まれるために存在する
文字を集める話。まあ、多分それだけでは終わらないだろうけれど。この巻の最後で
人の運命を狂わせ、苦しめたあげく、最後には裏切るもの。それが――希望
と、文字の影響を受けたジョニーが言うのだけれど、これは誰の深層心理を表しているのだろう。ジョニーだろうか、アンガスだろうか、文字だろうか、ウェリタスだろうか、俺だろうか。それは全然、わからないのだけれど、
捨ててしまえ、希望など
と言うくらい、希望に、絶望している。希望と絶望は表裏一体。と、姫は言っているけれど、それは、あまりにも、悲しい考え方ではないか。希望。四十六番目の文字。最後の、文字。アンガスが何を背負っているのかはわからないけれど、死にたいから、なんて答えを、返さないことを、祈る。
というか、わからないことが多すぎて、感想が書けない…まあ、いいさ。さて、どこで二つの物語がリンクして、どのように収斂していくのかが、楽しみだ。