〈本の姫〉は謳う1

ネタバレがあります。ご注意ください。

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)


今月新刊が出るので、積んであったのを引っ張り出して読んだ。あとがきを読んだところ、全四巻構成らしい。序盤のため、特に派手なところもないし、物語も断片しか出てこないし、伏線を張れるだけ張ってやったぜ的なものとなっている。前置きなく物語は始まるし、世界観を理解する前に場面が切り替わる。けれど、それでも、読みにくいことはなく、読み物として成り立っているのがすごい。これで新人なのか。そういえば、スタンプというのが多少想像しにくかったのだけれど、3Dシートのようなものだろうか。うーん。挿絵がほしい。

すべての本は読まれるために存在する

文字を集める話。まあ、多分それだけでは終わらないだろうけれど。この巻の最後で

人の運命を狂わせ、苦しめたあげく、最後には裏切るもの。それが――希望

と、文字の影響を受けたジョニーが言うのだけれど、これは誰の深層心理を表しているのだろう。ジョニーだろうか、アンガスだろうか、文字だろうか、ウェリタスだろうか、俺だろうか。それは全然、わからないのだけれど、

捨ててしまえ、希望など

と言うくらい、希望に、絶望している。希望と絶望は表裏一体。と、姫は言っているけれど、それは、あまりにも、悲しい考え方ではないか。希望。四十六番目の文字。最後の、文字。アンガスが何を背負っているのかはわからないけれど、死にたいから、なんて答えを、返さないことを、祈る。

というか、わからないことが多すぎて、感想が書けない…まあ、いいさ。さて、どこで二つの物語がリンクして、どのように収斂していくのかが、楽しみだ。