彩乃ちゃんのお告げ

ネタバレがありますので、ご注意ください。

というか、未読の人には、この感想意味不明かも。

いや、既読の人にも、意味不明かも…

彩乃ちゃんのお告げ

彩乃ちゃんのお告げ

明日はきっと、いいことあるよ

不思議な力を持つ女の子の話。長編だと思って読んでいたけれど、短編三つだった。何か特別なことが起こるわけではないけれど、誰かの日常に、幸せを届ける話。物語が進むごとに、関わる人物が、彩乃の年齢に近づいていく。だからかわからないけれど、感情移入しやすかった。ただ単に、貰っていくものが、物語に組み込みやすかっただけかもしれないけれど。それでも、その当時の自分を、思い出してしまった。

ぴかりと光っている道があればいいのに

第一話。初っ端から重い…飛ばしすぎだ。と思ったけれど、短編だった。それでも、これが最初に来るのか…

誰にだってキャパシティっていうのがあって――

だから、重いって…飛ばしすぎだって…考えさせられてしまうではないか…

ふたりでお外を歩きたかっただけなの

彩乃。無邪気でかわいいではないか。けれど、第一話だけ読むのと、三話全て読んだ後とでは、彩乃に対する考え方が変わってくる。この章に対する捉え方が、変わってくる。それは、後で、書こう。

石階段

第二話。この章で、橋本紡が何を書きたかったのか。それが、私では理解できなかったため、パス。

花火で目が覚めたの

第三話。お祭りの話。ああ、そういえばそうだった。小さい頃は、お祭りに行くだけで、わくわくした。ただその雰囲気だけで、楽しかったっけ。

わたし、なんで謝らなかったんだろう

彩乃のマニキュアを佳奈が零してしまう。何故、先を見通せる彩乃が、このような軽率なことをしてしまったのだろうと、不思議だった。この時点では。けれど、最後にわかる。ここは、伏線だったのか。必要悪だったのか、と。

彩乃は答えをくれない。まるでお告げのよう

彩乃とお祭りへ行く。けれど、いなくなる彩乃。亜美たちとの、合流。そして、打ち解けあう。ああ、だからか。だから彩乃は、佳奈にマニキュアを見つけさせたのか。マニキュアの存在を知らせるために。ここでマニキュアを使わせるために。佳奈のために。佳奈の幸せの、ために。そして、あのタイミングで部屋に入るのが、一番被害が少なかったのだろう。一番円滑に、すんだのだろう。自分の大切なものを削ってでも、佳奈の幸せを、願っていたのだろう。彩乃の不思議な力は、彩乃の幸せを媒介にしているのではないかと、思える程に。けれど、それなら

彩乃の幸せは、どこにあるの

もう十分だから。いっぱい貰ったから

貰ったものは何だったのだろう。気持ちだろうか。想いだろうか。思い出だろうか。幸せ、だろうか。その全部だろうか。それとも、それ以外の何かだろうか。そして、彩乃が最後に見せた、笑顔。あれにはどのような意味が、こめられていたのだろうか。

とぅもろーねばーのうず、だって

ここで、第一話に戻る。唯一子供らしさを見せたのが、第一話。けれど、もしかしたら、それすらも、智佳子と英輔の、幸せのためだったのだろうか。ぴかりと光っている道を歩く智佳子と英輔。彩乃にはそれが、見えていたのだろう。そして、彼女たちの間に生まれてくる子供すらも、見えていたのではないだろうか。その子供の性格は、第一話の彩乃のような性格なのではないだろうか。それが見えていて、その代役をしていたのではないだろうか。いずれ来る日のための、予行演習だったのではないだろうか。

彩乃ちゃんのお告げ

タイトルにもなっている彩乃。けれど、彼女について、語られていない部分が多い。というか、物語の中心にいるのは確かなのに、彼女自身、あまり出てこない。まあ、それ自体が彼女の存在を、物語っているのかもしれないけれど。どうなのだろう。また、何故各地を回っているのだろう。言いつけなのか、役目なのか、修練なのか、それ以外の何かなのか。彩乃の幸せのためならば、いいのだけれど。そういえば、淳司は何だったのだろうか。智佳子の前が、淳司だったのだろうか。淳司はあの後、どうなったのだろうか。邪なのは、淳司だったのだろうか、連中だったのだろうか。…まあ、いいか。続編は出るのだろうか。それだけは、とても、気になる。